REVOLUTION

闇金ウシジマくん』を読んだ。
堕ちていく人のつるべ落としで、激しく鬱になるのに、つい読みふけってしまう。
しかしまあ、よくぞあそこまで書き手がサディスティックになれるものだ。
感心したよ。
普通、どこかバランスを取ってHAPPYを盛り込んだりするよね?しない?
相当の覚悟がないと出来ないことなんじゃあないかって、俺なんかは思うよ。
邦画も、製作委員会システムが入ってきてからというもの、ドン引きするような要素はあまりお目にかかれなくなった。
別に叩かれることを避けてるわけじゃあないと思うんだけど、そんなさぁ、わざわざ映画館にきて鬱にさせるこたぁないんじゃない?って心理が働くのかもしんないね。
それが悪い事とは思わないんだけど・・・
なんだろう。
そういうバランスを取ろうって心理が自分は強いのかな。
でも、それでやってくと最大公約数にしかならないんじゃあないか、って不安も昔からあって。
だから余計に『悪の経典』とか面喰ったよ。
あの映画は、他にもまだモヤモヤしたもんが残ってるんだけど、それでも、いざ自分が提供する側にまわるとさ、あそこまで徹することは果たしてできたんかなぁ、なんて思う。
ビビッたり躊躇したらダメよね。
ビビッてたら闇なんて描けない。
なんかこう、観客のニーズに応えることに盲目でもいかんな、というかね。



少し脱線するけど、この前TVで『男はつらいよ』の一作目をやっててね。
ちょっと衝撃的だったよ。
フーテンの寅さんがフラッと帰ってきて、おいちゃんとこに居候するの。
なんの連絡もなしにだよ。当たり前のように居候してたな。しかも舎弟付き。
舎弟はそのうち店で働いてたけど、寅さんは家に入金なんてしない。
居候のくせに自由気まま。
挙句の果てに妹のお見合いメチャクチャにしてさ。
そんでも少しも悪びれない。
悪びれないどころか、おいちゃんに罵詈雑言叩きつけてたね。
それでも寅さん寅さんって愛されてる。
昭和のおおらかさってのもあったと思うけど、今じゃ考えられない主人公だよ。
無法者だらけの作品ならまだしもさ、周りの人いいひとだらけなんだもん。
でも観てて面白いんだよ。

00年代に入って「閉塞感」って言葉、やたら聞くようになったけど、作り手も知らず知らず枠にはまっていってるのかな。
なんか取り留めもない話になっちゃったね。
いつものことだけど。

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『エグザイル/絆』 (2006)
自宅にて。
ジョニー・トー。驚いた。香港映画いつの間にこんなに洗練されたのか。撮影めちゃめちゃカッコイイ。ワールドクラスじゃない?カメラワークとショットの積み重ねが実に美しかった。技術で魅せる力を持った作品。音楽を信じた編集と、それに応えた音楽も好き。CGの使いどころも適材適所。台詞を極力排して描かれた男の世界。打ち合いの後みんなで後片付けして食事とか、洗練されているけど、いい意味で香港映画らしさも残ってて、作品の向こう側に創り手を感じ取れた。

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『盗聴犯 死のインサイダー取引』(2009)
自宅にて。
うぅむ、香港映画面白い。これだよこれ!今の自分にとっての希望だ。過剰になりすぎず、シンプルで雄弁。主演三人の葛藤を描く構成も配分もいい。音楽もいい。特にモンタージュ。巧いなぁ。言葉に頼らない、音と映像が持つ力を十分に理解し、発揮している。世界マーケットをちゃんと意識しているんだろうな。

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『盗聴犯〜狙われたブローカー〜』(2011)
自宅にて。
株のことはてんで理解が追い付かないのと、どことなく池上遼一の漫画っぽい上品さでいまひとつ入り込めなかったよ。残念。役者もスタッフも前作と同じなんだけどね。

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孫文の義士団』 (2009)
自宅にて。
1900年の香港を再現してみせた技術。よく作ったなー。髪もちゃんと剃ってたし。撮影技術も素晴らしかったよ。でも、予告編のような編集の連続に白けた。

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奪命金』(2011)
劇場にて。
3人の交錯はもう少しやりようあったように思うけど・・・これほんとにジョニー・トーか?

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『TED』 (2013)
劇場にて。
R35にしたほうがよかったんじゃないかしらん。自分は大爆笑させてもらったけど。でもちょっと絞りすぎじゃない?「生きてるクマのぬいぐるみ」の自然さには感心。喧嘩のときはドキッとした。ただのぬいぐるみになったときの落差も見事。この感じ・・・なんとなく『WALL−E』を思い出したよ。主人公がガタイ良すぎなのは違和感あったかな。

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ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』 (2013)
劇場にて。
人生初3D。
CGは、とうとう生物までも飲み込んでしまった。ついに!ついにやったぞー!生物の完全再現をやってのけたー!!という意味では、涙が出るほど素晴らしいけど、それは同時に、スクリーンからミラクルが消えうせた気がして愕然とした。「すげえ、これどうやって撮ったんだろう!」なんてワクワクすることは、もうないんだろうな。これから先は、金田さんやりょーちもさんのようなアニメーターとしてのミラクルにシフトしていくんだろうか。

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『利休』 (1989)
自宅にて。
タイトルが『秀吉』かと思うぐらい山崎さんの秀吉に釘付け。もちろん三國さんも素晴らしいのだけど、利休という人物がひまひとつ掴めない。どことなく『アマデウス』を思い出した。

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桐島、部活やめるってよ』(2012)
自宅にて。
いまの高校生ってこんなに気つかってんのか。しかしこの空気感・・・ただものじゃない。そして、ああ、この主人公は俺だ。「映画監督にはなれないよ。でも一瞬でも繋がってるって思える時があるんだ」撮影が素晴らしかった。

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『脳男』(2013)
劇場にて。
うーむ・・・出てくる人、みんな空回りでツラかった。冒頭は素晴らしいんだけど。

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『執炎』(1964)
劇場にて。
第二次大戦が背景にあるんだけど、舞台は田舎町でカメラがそこから出ることはない。たまに配達される赤紙と死亡連絡にブルブル震えるという戦争の描き方が新鮮だった。

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横道世之介』(2013)
劇場にて。
2時間40分という長尺に身構えていると、のっけからたるーい展開。マジか・・・と青ざめるも仕方なくその必然を噛みしめる。すると不意に時間がスッ飛ぶ。ハッとする。そしてまたたるーく。ハッとする。オマエはのぼう様か。結論から言うと、世之介と祥子を、もっともっと観ていたかった。

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ムーンライズ・キングダム』(2012)
劇場にて。
なんかCMっぽくてイマイチ。子供の映画と思って観にいったら大物揃いでビビッた。

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スーパーマリオギャラクシー』(2007)
久々に任天堂の凄味を味わった。新ハードの、リモコンヌンチャクという新らしいユーザーインターフェースを啓蒙する役目と、マリオブランドとしての役目をキッチリ果たし、それらを、宇宙開闢という途方もないスケールのストーリーに乗せるという離れ業をやってのける。『風のタクト』もそうだったけど、冷静に考えると背筋がゾッとするような人物背景をサラッとやるよね。任天堂のそういうところがたまらなく好き。