I WANT TO TELL YOU

soichi_ueno2011-10-11

三谷監督『ステキな金縛り』公開に併せた雑誌のインタビューに応じて、その原稿が送られてきた。
読んでみて愕然とした。
俺はこんなにもエラソーな物言いをしてたのか!?と。
自分のイメージした内容を、相手に全然伝えられてない。
それどころか、不愉快にさせている。
結果、ずいぶんと加筆、訂正をさせてもらったが、これはゆゆしき問題だ。


たしかに喋りは苦手だ。
起承転結を盛り込み、抜群の比喩も駆使して会話できる人をうらめしく思ったこともある。
でもせめてイメージは伝わっていただろうと。
決してうまくはないけど、ガツンと熱いものが相手に届いているだろうと過信していた。
それが、土俵にすら上がれていなかったとは・・・・・

きめた、筆談だ。
これから私は貝になろう。

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陰陽師』(2001) ★★★★☆

原作未読、自宅にて。

この手のジャンルに縁がなかったにもかかわらず、ここまでの完成度に成し得た手腕は見事というほかない。
陰陽師を演じた野村萬斎さんは言わずもがな、悪役を演じた真田広之さんの説得力にうなる。
一歩間違えば失笑もののコメディになってしまう世界に重力を与えることは、本当に難しい。

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GANTZ』(211) ★★★☆☆

原作既読、自宅にて。

映像化、という点に限っていえば★4つ。
自分が見た中では、間違いなく邦画最高峰。
しかし、この手のジャンルに対する愛が感じられないのが残念。
修羅雪姫』では、あんなに愛にあふれていたのに・・・

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武士の家計簿』(2010) ★★★☆☆

原作未読、自宅にて。

とてもよくまとまっている。

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ゴールデンスランバー』(2010) ★★★★☆

原作未読、自宅にて。

無理にハリウッドをやろうとしない、日本人の日本人による日本人のためのクライムサスペンスが見れる!きたー!!と思ったら青春映画だったでござるの巻。
冒頭から爆破までの、緩和から緊張に至る過程は見事。
俳優、吉岡秀隆氏の力量を見誤っていた。
顔面の緊張、瞳の動き、息の飲み込み、震える呼吸、声色、全てが完璧、美しい。

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『I AM LEGEND』(2007) ★★★★☆

原作未読、自宅にて。

荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』に書いてあったので鑑賞。
ハリウッド大作にしてはめずらしく、一人の男に焦点を当てて丁寧に描いてる。
こういう作品では、極限状態の密室でうずまく人間模様、腹の探り合い、人と人とのぶつかり合いに焦点が当てられがちだが、この作品は主人公単身(と愛犬)。
怪物も出てくるが、戦う相手は孤独と絶望。
よく製作に踏み切ったな、という感心と、その高いハードルをかろうじてだとしても飛び越えた結果に感心。
愛犬とのやりとりは、それだけで1800円の価値はあると思う。
無人のNYは見ごたえがある反面、生物CGは無残。
なぜ、あれほどまでに映画創りを知り得たハリウッドが、かような愚挙を取るのか理解に苦しむ。

※追記※
別バージョンがあるとのことでネットで拝見。
おお、こ、これは・・・
スタッフの無念いくばかりか。
いろんなものの意味がガラッと変わる。
ハリウッドとは、こんなにもタフなのか。
畏れ入る。
自分はまだまだ大甘ちゃんだ。

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エクソシスト』(2000) ★★★★☆

原作未読、自宅にて。

40年近く昔の映画が、これほどの保存状態で自宅でお手軽に鑑賞できるなんて、なんて素敵なんだ。

でも、マトモに観たのはこれが初めて。
映画は、ほぼ全編にわたって深刻な空気に包まれている。
ネガティブで不快で不安にさせる事象が、わんこそばのように次々と提示される。
しかも、悲劇に浸る暇は与えられない。
観客を袋小路に追い込んでいく「音」も用意周到に緻密に構成されている。
前後の繋がりを重視せず、点を散りばめて、じっくり時間をかけて線にする構成も新鮮だった。
あれでいいんだ。
ラストのあっけなさだけが腑に落ちなかった。