WITH A LITTLE HELP FROM MY FRIENDS

soichi_ueno2009-07-01

消費文明とはどこまで突き進むのであろうか。
その場が楽しければそれでいい、と享楽的に過ごしたなれの果てとはいえ、不安ばかりが降り積もる。
TV業界はサービスエリアに入ったようだけど、この国の資本主義と文化に対する扱いが変わらない以上、出口はないのではないか?
全ては「いい感じに」だ。
今や邦画は、かつては見られた教育者としての視点や哲学、美学はなりを潜め、目先の数字取りに奔走してしまっている。
映画は大衆娯楽という持論にいささかの変容もないけれど、これではただの食い散らかしだ。
もはや、映画から教わることなどありはしないのだろうか。
責務の一端を担うものとして、慎重にジャッジしていかねばなるまいよ。
できるかな。
ぽーぅ!っだ!しゅくちゅく

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『ベンジャミン・バトン』(劇場にて)★★★★☆

ベンジャミンのような博愛は持ち合わせていないが、人生も捨てたもんじゃないな、と思える。
人の一生は、すべからく数奇だ。
3時間を飽きさせずに魅せる手腕はさすが。

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『MIRRORS EDGE』(PS3)★★★★☆

映画『ヤマカシ』よろしく、ビル群をさっそうと滑空できる感覚は見事。
その再現力に星四つ。
しかし、それ以降の展開は単調で、『アサシンクリード』を彷彿とさせる。
体験版で十分かも。

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デモンズソウル』(PS3)★★★★★

硬派なフロム、ここに復活!
オフラインの出来もさることながら、オンラインの面白さに我を忘れて興奮。
今までオンラインというものに煩わしさしか感じとれず食わず嫌いをしていたが、まさかこんなに面白かったとは、、、
購入して3か月。PS3の電源を入れない日はなかった。
そりゃあ、廃人も出るわな。

凄いと思ったのは、そのシステム。
他プレーヤーのフィールドに侵入して協力するもよし、対戦するもよし。
シンプルなようで奥が深い。
場慣れしたころ、先輩風をふかしたいのか、初心者の水先案内人を買って出たくなる。
人から感謝されるのは嬉しいからね。
でも、そのうち、ホストの傍若無人さに我慢ならなくなり、気がつけば暗黒道。
そんな、スーパーマンやダースベイダーが通った道を、シナリオではなくシステムで体感させるゲーム。
それが、デモンズソウル! くわっ!

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砂の器』(DVDにて)★★★★☆

見事。
語り継がれるわけだ。
数年前に劇場でデジタルリマスターを観たはずだけど、その時は何も感じ取れてなかったってことだな。

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ゼロの焦点』(DVDにて)★★★☆☆

おそらくは、製作側から規定呎に収めることを強いられたのだろうが、十数年後に『砂の器』を監督するとはおおよそ思えない。サスペンスとしての見ごたえはある。

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犬神家の一族』(DVDにて)★★★★★

ヤバい。面白すぎる。
齢60でこれを撮りあげるとは、、、
バケモノめ。

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『エヴァンゲリヲン新劇場版:序』(DVDにて) ★★★☆☆

うまくまとめたな、という感じ。

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『エヴァンゲリヲン新劇場版:破』(劇場にて) ★★★★☆

以前、職権を乱用してエヴァのことを庵野さんに聞いたことがある。
その時は、
一度やり遂げたものと再び取っ組む(『death and rebirth』と『air』)のはしんどい
と言っていたと思う。
おそらくは、エヴァに触れること自体不快だったのかもしれない。
申し訳ないことをしたと思う。

その男が、敢えて三度取っ組むことになろうとは。

そのしんどさたるや、、、
相当の覚悟を要したに違いない。
しかし、いざやるとなればこの男、ノリノリである

『エヴァンゲリヲン新劇場版:破』を観た感想は、「おとしまえ」の作品ということ。
2007年に公開された、若松孝二監督作品『実録・連合赤軍』に近いものがある。
違いといえば、原罪を自らが創り出したことと、原罪を踏み台にしていること。

僕はといえば、原罪の方が好みだ。
カタルシスを得るには、呎が圧倒的に不足している。